【豊島】人情あふれる香川県のおすすめ島観光、生と死について考える




香川県のおすすめ島観光「豊島(てしま)」

香川県高松市内につくった小さなシェアハウス(ALINCO house)のオーナー兼住人、ありんこです。(プロフィールこちら

瀬戸内海に浮かぶ島々で、3年に1回開催される現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」。瀬戸芸開催期間中、特に人気の島がここ、豊島です。

高松からフェリー(高速艇)で35分ほど。気軽に行けるような距離に住んでいるわたしとしては、混雑している瀬戸芸開催期間中はあんまり行きたくない・・・今回訪れたのはまだ寒い時期、オフシーズンのなんでもない週のなんでもない日。

豊島は直島とともに瀬戸内の島のなかではアートの島としてかなり有名で、日本全国から、海外からたくさんの観光客が訪れているようです。ちなみに瀬戸内国際芸術祭の次回開催は2019年。

直島を訪れたときには、ぜいたくにゲストハウス3泊のひとり旅。でも今回の豊島は日帰り。島で何をするかも何で移動するかも何があるのかもよく考えていない完全無計画旅。

 

満員の高速艇に乗り、揺られるままに瀬戸内海の旅。

35分後、豊島に到着。何があるのかもよく分かっていないので、とりあえずビジターセンターっぽい建物がある場所へ。その道中、なんともかわいい猫ちゃんたちに出会いました^^さすが、瀬戸内の島。どこにでもネコ。そしてみんな人間慣れしていて人懐っこい。「にゃ〜」ってかわいげに鳴いて、エサをもらおうとしてきます。かわいいから、お菓子あげちゃう!

ってわけにはいかず・・・。観光客が島猫にエサをあげ続けるから猫が増え続け、フン被害などで島民たちが困っているのです。それによって、猫島として有名な男木島では近年、猫ちゃんたちに去勢手術が行われていたり、香川県内では犬猫の殺処分数がさらに増えてしまっていたり・・・。香川県は意外にも、動物の殺処分数が多いそうです。そうなってしまっては、かわいいからってエサをあげた猫ちゃんたちを結果的にいじめていることになってしまう・・・。「にゃ〜」って、かわいい(たぶん猫本人も自分がかわいいことを知ってる)けど、エサをあげずに我慢。

 

豊島のフェリー乗り降り場、家浦港から徒歩3分ほどのところにある、観光案内所っぽい場所に到着。高速艇は満員だったわりに、観光案内所はスカスカ。

きっと猫の写真を撮っているあいだに、みなさんこの案内所をちゃちゃっと経由して、ちゃちゃっと観光を開始したんでしょう。

 

この観光案内所、ふつうの建物なんですが、なんだかカラフルでおしゃれ。

特産物を販売していたり、旬の柑橘類を販売していたり・・・

 

入り口。

 

「レンタカーあき」おっちゃんとの出逢い

今回、こちらの記事で紹介した旅友達のイーノくんと一緒に豊島観光をしました。独特な視点と感性をもった、おもしろい友達。

観光案内所で豊島内の地図をもらい、移動手段がないのでとりあえず歩き出す。ちなみに豊島は周囲20kmほど。見所はあちこちに点在しているようでした・・・。

 

まあ帰りのフェリーに間に合う程度にまわれるところをまわろう、というユルいスタンスで、のこのこ歩いていると・・・ある家の前に、こんなものを発見。片方の靴・・・どういう状況なんだろか。いろいろ想像がふくらみます。

豊島のいちばんの見所(と聞いたことがある場所)は、豊島美術館。たどり着くかも分からない豊島美術館の方向に向かってのこのこ、さらに歩いていきます。

・・・すると、横を通った車の中から「おーい、なにしてんだあ??」って呼ぶ声が。「歩いてまーす」とかいうわけの分からない返事をしつつ、車の中のおっちゃんが「まあオレの話を聞け」と言うので、ついていくことに。

 

このおっちゃんとの出逢いが、今回の豊島観光の充実度を大きく変えることになったのです。

おっちゃんは、「レンタカーあき」というレンタカーやさん。たまたまこの時期、オフシーズンだったこともあり、レンタカーをめちゃくちゃ安く借りれるサービスをしていました。それにのっかって、結果的に自転車を借りるよりも安く移動できる手段を、なんの苦労もすることなくゲットしたのでした。ラッキー。

エネオスのぼうしをかぶっている人たち。写真の左が「レンタカーあき」のおっちゃん。右が旅友達イーノくん。

 

「#レンタカーあき」のタグで検索してみぃ、オレが誰だか分かるから!というので、検索。

検索しなくても、店内(というか、ガソリンスタンドの奥のスペース)には素敵な色紙や写真がたくさん。ここでおっちゃんに出逢えたことが、いかにラッキーだったかがよく分かりました。

 

タグで検索してみぃ、とか言うから、おっちゃんがSNSやってるのかなーと思ったら、おっちゃんはパソコンとかスマホとかまったく使わないそう笑

みんなが「#レンタカーあき」でいろいろ投稿するから、ちょっとした有名人になっちゃったよ、とのことでした。

 

おまけに、おっちゃんに完璧な豊島観光プランを組んでもらい、レンタカーを安く貸してもらい、いいことづくしで観光スタート。結果としておっちゃんのプランは、ガイドブックにのっているものよりもかなり充実していました。

ちなみに徒歩で豊島をまわるのはかなり無謀。アップダウンがあるので、自転車でもそこそこきついです。

 

豊島「海のレストラン」

「レンタカーあき」のおっちゃんが絶賛するレストランがここ、「海のレストラン」。おっちゃんが店主さんと知り合いなようで、その場で予約をとってくれました。さすが島民。

 

名前のとおり、海に面したロケーション最高のレストラン。

 

まだ、入るには寒い海。でも真っ青でおだやかな、広い瀬戸内海。

 

たった5分くらい前におっちゃんが予約した席、なんとご丁寧に”RESERVED”の札が置かれていました。

ランチメニューは基本的に、讃岐オリーブ牛のランチと、瀬戸内鮮魚のランチの2種類。おっちゃんおすすめは、オリーブ牛のランチ。選択の余地もなくこのオリーブ牛のランチが予約されていましたが、食べてみて大満足。

讃岐オリーブ牛は、オリーブの絞りかすを与えて育てた香川県のブランド牛。お肉がすごく柔らかい上に、添えられている野菜などひとつひとつが深い味。本当に大満足、おっちゃんに感謝です。

海のレストランさん、詳しい情報はこちら

 

勝者はいない

おいしいランチのあとでゆったりくつろいでいる間もなく、おっちゃんプラン次の場所へ。

 

レンタカーのおかげで、のこのこ歩いて行くつもりだった長い道のりをスイスイと。

 

よくある写真ですが・・・ここの道、最高です!

このままブレーキが効かなくなって、盛大に海に落下・・・という可能性が脳裏をかすめたことを除けば(笑)、最高に気持ちがいい道。海と空の青が好き。

この坂を下って道なりに進むと、すぐ近くが豊島美術館駐車場です。

 

とりあえずそのまま道なりにどんどん進み、たくさんバスケットゴールがある場所へ。

「勝者はいない」という作品。芸術作品、芸術的センスのないわたしにとってはよく理解できないものもよくありますが、なんだかこの作品、好きです。たくさんゴールがあるという見映えとしてももちろん面白いけど、どのゴールが正解だか分からない、誰が勝者だか分からない、本当はそんなこと決まっていない、本当は勝ち負けなんていうものはない・・・「勝者はいない」という題名がなにより好き。

まあ考えている間もなく、とにかく華麗にシュートを決め満足したので次へ。

 

心臓音のアーカイブ

こちらの作品、世界中の人たちの心臓の音を集めている場所。そして集めた多様な心臓の音を、視覚的な刺激とともに聞くことができる、ちょっと変わった発想の作品です。

 

こちらの真っ暗な部屋、人が変わるごとに変化していく心臓音に合わせて電球が光ります。

個人的な感想としては、心臓の大音量と振動、規則的な光刺激が合わさってなんだか怖かった。心臓音の強さと光の強さが連動しているので、これって、死に際の人の心臓音だとこの部屋はほとんど何も見えないくらい真っ暗になるのかなーなんて考えてしまいました。生きているからこそのこの音と光と振動。そして人によって、心臓音ってけっこう違うんだーと。

自分の胸に手を当てて、自分自身の心臓音と比べてみたりも。怖くて自分の心臓がドクドクしているのか、この空間全体がドクドクしているのか・・・怖いけど、時間がたつのを忘れてしまうほどおもしろい。

 

自分の心臓音を登録することもできます。登録されている心臓音をその場で聞くこともできます。瀬戸芸で海外からもお客さんが集まった影響か、海外の人の心臓音が多く登録されている印象でした。

一緒に行ったイーノくん、医師です。この作品どうだったー?っと聞いてみると、やっぱり変わった感想が。普段からいろんな人の心臓の音を聞いているからか、それぞれの人の心臓音(弁の開閉)で体の状態を予想していたそう。まじめか!笑

 

豊島美術館

広大な棚田のある丘に、豊島美術館はあります。火曜定休。

 

中は写真撮影ができないですが、豊島美術館の「母型」という作品、外見はこんな感じにコンクリートでつくられています。土足では入れず、手前で専用のスリッパに履きかえます。

公式HPには内部の写真が載っていますが、中はだだっ広くて白い、とっても静かで音が響きやすい空間。人工物の中にいるのに、自然のもの以外の刺激が全くないような空間です。スベスベの地面にはランダムにちっちゃな穴が空いていて(穴すら見つけるのが難しい)、そこから時々、水が湧き出してきます。湧き出してきた水は、重力とか空気の流れによってゆーっくりと、ときどき速く、流れていきます。水の玉と水の玉がくっついて大きな水の玉になり、一緒に流れていくこともあります。

大きな作品には2か所、丸くて大きな穴があいていて、そこから空を見ることができます。おだやかな日にはスーッと風が通り抜けてゆきます。風の音、生き物たちの声が聞こえます。

豊島美術館の「母型」は、一日を通して、いたるところから水が湧き出す「泉」です。ふたつの開口部からの光や風、鳥の声、時には雨や雪や虫たちとも連なり、響き合い、たえず無限の表情を鑑賞者に伝えます。静かに空間に身を置き、自然との融和を感じたとき、私たちは地上の生の喜びを感じることでしょう。

引用:http://benesse-artsite.jp/art/teshima-artmuseum.html

 

ホームページには、こんなことが書かれていました。

わたしアリンコにとっては、アートは分からないものも多いけど、自然は好き。この作品の中にいると、自然の中にいるときよりも自然を感じることができました。豊島美術館には、人間がつくり出すことのできない自然と、人間がつくり出したアートが調和している素敵な空間があったのでした。

 

豊島横尾館

横尾館は、とても哲学的な作品。生きていること、死について、深ーく考えさせられる作品でした。

古民家を改修してつくられたこの作品は、建物そのものの配置を生かして「母屋」「倉」「納屋」というそれぞれのパートで構成されていて、それぞれが奥深い意味を訴えてきます。建物だけじゃなく、敷地内の庭やトイレなども大きな見どころ。

中は撮影禁止。写真はこちらのHPにいろいろと載っています。

 

もう外見からして、ただものじゃない感。

それぞれの場所に、けっこう刺激の強い絵画作品が数枚。アクリル画だったり油絵だったり、アニメーションが加えられていたり。

庭には三途の川が流れていて、わたしたちはそこを渡ってあの世に行きます。三途の川もアートですが、これがまた綺麗。そして、三途の川を渡ってしまったわたしたちはいろんな非日常を体感することになるのです。

筒状の建物は「奈落の底」になっていて、今まで生きてきた自分自身を、もう戻れなくなった「奈落の底」でじっくり振り返ります。敷地内にあるトイレは全面、360°鏡張り。全ての方向から自分自身を見つめながら用を足す・・・

いろんな意味でずっしり来たまま、横尾館を出ました。かなり印象の濃い、おすすめな作品。自分自身が生きていること、生と死について、じっくりと考えました。

 

いちご家

豊島ではいちごの栽培がされています。「いちご家」は豊島の島民や観光客にとても人気、いちご農家さん経営の自家製いちごスイーツのお店。

「レンタカーあき」のおっちゃんへ車を返し、またのこのこと歩いて「いちご家」に寄りつつ港まで行こうとすると・・・

おっちゃん、「そんなんじゃ間に合わないから!!」と言ってわざわざ車を出して「いちご家」まで連れてってくれました。ありがたい・・・

 

いちばん人気のクレープの他、かき氷やパフェなどメニューはけっこう豊富。

 

いちご好きにはたまらない、選びほうだいのいちごスイーツ!

とりあえずおっちゃんが、「クレープでいいな!」と言うので言われるがままクレープに決定。帰りのフェリーの出発時刻に間に合うかどうか微妙だったので、これまたおっちゃんが気を利かしてくれて・・・店内にできていた行列を完全無視して、おっちゃんがわたしたちのクレープを即座に注文!

お店の人も急ぐ!全然慌てていないのは、急がなきゃならなかったわたしたち本人だけ。

急いで作ってもらったクレープを持ったままおっちゃんの車に乗り込み、港まで。ギリギリ、帰りの便に間に合いました。

 

この時期はいちごの旬。いちご家さん自身がつくった真っ赤ないちごたちも、売られていました^^

こちらもおいしそーだな!でも買おうかなんて考えている暇はありませんでした。

 

無計画な島旅。今回の旅のMVPはもちろん、「レンタカーあき」のおっちゃん。

「もー、ちゃんと計画を立ててから出かけるんだぞ!!」っと言われましたが、こういう旅先での出逢いが何よりも好物のわたしにとって、おっちゃんとの出逢いは、また無計画旅をしようという強いモチベーションになったのでした。おっちゃん残念^^

 

豊島へのアクセス

地図

豊島へは、高松港の他に直島小豆島の港などからもアクセスできます。

香川県以外には、岡山県の宇野港や犬島からも船が出ています!

引用:http://imagic.qee.jp/sima3/kagawa/teshima2.html

豊島には2か所の港がありますが、レンタカーやレンタサイクルなどは家浦(いえうら)港発着がおすすめ。もう1か所の港、唐櫃(からと)港は豊島美術館からは近いですが、横尾館などの作品、家浦地区にある観光案内所からは離れてしまいます。しかも唐櫃港発着の船は土日祝日のみ、1日1便だけしか運行していないようです。

今回島をぐるっとしてみて思ったのは、自転車だと意外ときつそうだなーと。島全体を見たい、というときの移動手段は車か電動自転車が良いです。徒歩は論外でした。笑

 

フェリー(旅客船)

それぞれの港からの片道運賃です。犬島や直島からもアクセスできますが、細かい料金表はこちらの公式ページから。

  • 高松港⇄家浦港(豊島) 1330円
  • 高松港⇄唐櫃港(豊島) 1330円
  • 土庄港(小豆島)⇄家浦港(豊島) 770円
  • 土庄港(小豆島)⇄唐櫃港(豊島) 480円
  • 宇野港(岡山)⇄家浦港(豊島) 770円
  • 宇野港(岡山)⇄唐櫃港(豊島) 1030円

高松から豊島までは約35分(直島を経由する便だと50分)。岡山から豊島の家浦までは25分〜40分。岡山から豊島の唐櫃までは40分〜1時間。

高松から豊島までより、岡山から豊島までの方がアクセスに時間がかかるのに、なぜか安いという・・・なぜだろか。

どの便も、1日にそんなにたくさんあるわけではないので、日帰りで行く場合にはよく計画を立ててから行かないと、帰ってこれなくなります。(どの口が言ってんだか)

もう少しゆっくりできるなら、宿泊をして2〜3日でまわるのもおすすめ。1日じゃまわりきれない場所、けっこうありました。

バタバタまわった今回の旅でしたが、また行きたいと思わせてくれる島、大好きな島の1つになりました。生と死についてじっくりと考えたい人、自然が好きな人、アートが好きな人、みんなにおすすめできる島です。

 

 

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