シェアハウスのトラブルと人間関係
香川県高松市内につくった小さなシェアハウス(ALINCO house)のオーナー兼住人、ありんこです。(プロフィールこちら)
ありんこハウスをつくって、シェアなかまと暮らし始めてからそろそろ1周年・・・
1年前、シェア暮らしを始めるにあたって土地や建物のこと、融資のことやリノベーション工事について、シェアハウスでの暮らしについて、多方面から勉強していました。
ちょうど1周年ということで、シェアハウスで起こりうるトラブルや解決策、当時描いていたシェアハウスの理想像とメモしていた備忘録、シェア暮らしを1年間続けた今になって思うところを、まとめてみました!
ふつうの賃貸物件かシェアハウスか
「シェアハウスでの生活」と聞くと、ふつうに賃貸アパートやマンションに一人暮らしをするのと比べて、どんなメリットやデメリットを思い浮かべますか?
- 1人暮らしするより、毎日が寂しくなさそう?
- 1人で賃貸アパートを借りるより生活費割安で住めそう?
- ルールが厳しいと面倒くさそう?
- 入居者同士のトラブルがありそう?
- 友達を家に呼べるんだろうか?
- 学校や職場以外でのコミュニティが広がる?
- 洗面所やトイレ占領する人がいたら嫌?
- 潔癖症とか逆に汚す人がいたら嫌?
- 人見知りだし入居者同士の交流が苦痛?
シェアハウスとは?
”シェアハウス”っていう、ちょっと新しい暮らしの形、日本国内でも増えてきつつありますが・・・そのうち9割くらいは東京都内にあるようで。まして地方ではまだまだ知られていないことが多いです。
ちなみに、”シェアハウス”って、”ルームシェア”とは違います!
友達同士などで賃料を割り勘して部屋などを借りて住むのルームシェアとは違って、シェアハウスでは一軒の家を複数の人数で共有して生活するんですが、部屋は別々。
プライバシーは確保されていながら、ダイニング、キッチンやお風呂などは共同で使うようになります。
1部屋分は自分だけで自由に使い、その他の部屋や設備は共有するのでその分、1DKや1LDKの家に1人で住むよりは、共益費や光熱費も含め割安になっていることが多いです。
入居し始めたときに家具家電を買わなくて良いっていう点が、金銭面ではいちばん大きな利点かもしれないですね!
シェアハウスの管理と人間関係
ただ一番大事なのは、入居する人もそうなんですが、運営する人やそのシェアハウスの責任者がまず、シェアハウスに住むことのメリット、デメリットを充分知っていることだと思うのです!
入居してくれるシェアなかまにとって居心地の良い空間をつくるにはどうしたら良いか考えることはもちろん、トラブル事例についても知っておきながら、一般的にシェアハウスのデメリットになっている部分をリフォーム、リノベーションの段階でどれだけ予防できるかが、居心地の良いシェアハウスをつくることに直接つながると考えています。
平和な日本ではあるけど、盗難やマナーを守らない入居者がいる可能性もあるんで・・・
- それぞれの個室全てにもカギを付け、玄関のカギは入居者が変わったときに変えているか
- 入居の審査の時点でルールや違反に対する対処などについてしっかり説明しているか
- 共用、専用の部分を分け、そのことについて共通理解があるか
- 入居者の人数は多すぎてはいないか
- 生活スタイルが全く合わない入居者を入れていないか
- 入居者同士の距離が近すぎ、または遠すぎてはいないか
などなど。
数項目を事前にチェックしておく必要がありますよね。
特に、”入居者の人数は多すぎてはいないか”、”入居者同士の距離が近すぎ、または遠すぎてはいないか”についてはとってもネックになる部分だと思います。
所詮シェアをする人間は他人どうし!ぶつかり合うのはある意味当たり前のことです。
そしてその”他人”がたくさんいればいるほど、秩序は乱れていきます!
まずはシェアする人数を適切にすること、具体的に言えば、多くても5〜6人くらいが限度なんじゃないかと思いますね。
さらに入居者同士の距離が遠すぎる場合、(それじゃそもそもシェアハウスのメリットが失われていますが)盗難などのトラブルは起きやすくなります。
一方で、入居者同士の距離が近すぎるのもあんまり良くないです。他人だったということを忘れてしまうぐらい近すぎて家族みたいになると、「これくらい許されるだろう」の範囲が広がってきて逆にトラブルが生じやすくなります。
友達同士のときはうまくやっていたのに恋人同士になるとうまくいかず別れてしまった、とかいうのと似たイメージで。
適切な距離感を保った人間関係でのシェア暮らし。いちばん大事で、なおかついちばん難しいところなのかも?
シェアハウス生活に向いている人、向いていない人の特徴
楽しそうだけど不安もある。初めてシェアハウスに入居しようかなーと考えるときは、誰でもそんな気持ちだと思います。
シェア暮らしにはどんな性格の人が向いているんだろか・・・まとめてみました!
- 一人暮らし経験があり、生活面や金銭面で自立している
- 人とのコミュニケーションが好き
- 人といる時間も、一人で過ごす時間も好き
- 後片付けや掃除ができる
- 他人の言動や行動がいちいち気にならない
- ストレスを溜めにくい
ひとりでいるのが好き。でも、ずっとひとりは嫌。
友達とみんなで行動するのは嫌。でも、仲の良い友達と一緒にいるのは好き。
他人のことに関してはユルいけど、自分のことはしっかり管理できる。
こんな性格の人が、シェアハウスで生活するのにはちょうど良いじゃないかなと思います。
わたしありんこも、寂しがり屋のひとり好き。
シェアなかま同士で近すぎず遠すぎずな距離を保てることが、全員にとっての快適な空間をつくることにつながります。
もちろんシェアなかま同士での相性の合う、合わないもあると思います。
他人どうしなのでそりゃ当たり前で、ちょうど良い距離を保っていれば問題にはならないはず。
よっぽど相性が合わないときはまた別ですが・・・それは入居の時点でオーナーが見極めるべきだと思います。
理想のシェアハウスと暮らし方
「不自由な共生から、自由な孤立へ」
これは、東京の西国分寺にある”クルミドコーヒー”というカフェの店主であり創業者である影山知明さん著の本、「ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~」の中にある言葉。
とてもステキな考え方、人との距離感の捉え方なので、ここでちょこっと紹介しておきます!
関係性のつくり方について、ぼくは2つのものがあると考えている。一つは左上の象限。「不自由な共生」関係。かつて地域には関わり合いがあり、それがもたらす助け合い、安心感があった。ただ一方、それは不自由を伴うものでもあったろう。
ましてや「違うこと」を始めたりすると、変わり者扱いされ、地域の中での居場所を失うことにもなりかねない。何しろ、長いものには巻かれろ・・・みなが地域の常識や慣習に添って振る舞うことでその関わり合いの安定感は実現される。
今でもまだ、田舎ではこういう場所がたくさんあるんじゃないだろか・・・
地元の活動には強制参加、休日は自分の思うように過ごすことが難しい。もちろん助け合いのメリットもありますが、今どきこういう縛りみたいな地域の絆が必要あるのかは疑問です。
逆に、現代の都会暮らしではなかなかこういうことはありませんよね。
それが嫌で、人は都会に出た。自分のことは自分で決め、まわりから過剰に干渉されるのはイヤだ。まして有形無形にコントロールされるのなんて、まっぴらごめんだ。つまり人間は「不自由」から「自由」を求めた。結果、「孤立」した。自由を手に入れることと引き換えるように、周囲との関わり合い、共生関係を失った(右下の象限)
年間三万人の自殺者、増える孤独死・無縁死、上昇する未婚率、出生率の低下、保育・介護の外部サービス化、政治への無関心・・・社会から関係性は失われ、それに由来する様々な問題が顕在化する。
他人との関係性が、「不自由な共生」から「自由な孤独」に急速に変化してきた日本。
この、「ゆっくり、いそげ」の著者である影山さんは、これら2つの関係性を通り越し他人と共に自由に生きる・・・この一見すると矛盾するような関係性は、20世紀という「自由」の時代を経てたどり着いた、おそらく人類史上、過去にほとんど先例をみないような象限へのチャレンジは、非常にやりがいのあるものだと述べています。
シェアハウスを通じた「自由な共生」
わたしはこの影山さんの考え方にとっても共感しました!
「不自由な共生」から「自由な孤独」へ。そして理想は、「自由な共生」。このいまだかつてない象限への挑戦、シェアハウスという形そのものなんじゃないかと、感じたのです。
近すぎず遠すぎない距離を保った人間関係、これも「自由な共生」を実現させるためのひとつの手段。そんな距離感を意識しながらのシェアハウス生活、つづけていきたいもんですね!
謎もまだまだ多い、シェアハウスでの絶妙な人間関係。さらにこちらの記事→『シェアハウス生活と人間関係まとめ!向いている人は?トラブル事例は?』にまとめてあるのでぜひ!
さらに、シェアハウス(ありんこハウス)運営について、わたしの開業までの経緯や想いなどをいっきにまとめた記事がこちら→『【まとめ】香川県に移住して古民家リノベで作ったシェアハウス!開業〜運営全公開』参考にどうぞ。