「OUT IN JAPAN SETOUCHI」四国初!LGBT、セクシュアル・マイノリティーの姿を瀬戸内から世界へ
ありんこです。(プロフィールこちら)
“OUT IN JAPAN”というイベントが瀬戸内、香川県で開催されるということで、スタッフとして参加させてもらいました。
この”OUT IN JAPAN”、LGBTを含め”性的少数派”とか”セクシュアル・マイノリティー”と呼ばれるような、日本国内の人たちがポートレートモデルとなり、数々のフォトグラファーが撮影するというイベントです。
撮影された写真はWEBサイトや展覧会、写真集などに使われ、セクシュアル・マイノリティの人たちが、そうではない人たち(ストレートって言うらしい)にとっての身近な存在になれるように、正しい知識や理解が得られるように、ということを目標にした活動。
LGBTとは?
LGBTっていうのは、セクシュアル・マイノリティーのうち一部のことで
- レズビアン(女性の同性愛者)
- ゲイ(男性の同性愛者)
- バイセクシュアル(両性愛者)
- トランスジェンダー(出生時の性と、自認する性が不一致な人)
って呼ばれているような人たちのこと。
セクシュアル・マイノリティの人たちにとっては、自分がそうであるっていうことをカミングアウトするのはとっても勇気がいること。だからこのイベントは、彼らにとっては生き方が変わるきっかけになるような、大きなものなのです。
OUT IN JAPAN SETOUCHI×写真家レスリー・キー
このOUT IN JAPANにて、撮影のモデルとなるのはセクシュアル・マイノリティーの人たち。
そして撮影者はなんと、安室奈美恵や倖田來未、松任谷由実、浜崎あゆみなど数々の有名アーティストのジャケット写真や写真集を手がけた、シンガポール出身の写真家レスリー・キー!
わざわざ香川へ来てくれるとは・・・
OUT IN JAPAN写真展
このイベントと同時進行で、レスリー・キー以前にもOUT IN JAPANにて撮影したLGBTモデルたちの写真展が開かれていました。(高松サンポート)
モノクロ写真。すべてがLGBTなどセクシュアル・マイノリティーの人たちです。
一人で写っている人、男性や女性関係なくカップルで写っている人・・・どのモデルさんも、カミングアウトの覚悟をした人たち。その清々しさや複雑さなどいろんな感情が入っている気がする写真ばかりでした。
OUT IN JAPAN撮影会
今回のイベントのメイン。レスリー・キーによるLGBTモデルの撮影会です。
たくさんのボランティアスタッフたち(スタッフの中にもLGBT当事者がいたり)、メディア関係者、いろいろいました。
LGBTモデルさんたちが着るためのたくさんの衣装。
アダストリアという、会社さんからだそう。
こちらも。
ヘア・メイクもプロのスタッフさんが。
そして、レスリー・キー登場!ふつーに登場してきて、びっくり。
撮影の前にモデルさんは、事前に用意してあった自己紹介の用紙をレスリーに見せます。
自分の名前、出身地、自分がセクシュアル・マイノリティーの何に当たるのか?ということまで。
そしてレスリーは、撮影の前にそのモデルさんとちょっとした会話。セクシュアル・マイノリティーの人たちに対して、聞きづらいと思われがちなところも全部。打ち解けてから撮影に入っていました。
指示が明確。モデルさんそれぞれで違うポーズは、その人ごとにその場で舞い降りて来た印象によって決めるそうです。そして舞い降りてくるのが、めちゃくちゃ早い・・・。
写真=モデルの雰囲気×写真家の人柄×コミュニケーション
レスリー・キーがこの日に撮影したLGBTモデルの数は、なんと約60人!
東京や大阪など日本全国から、LGBTであることをカミングアウトして生き方を変えたいという人たちが、この小さな香川県に集結しました。
スタッフという役柄、こんな大物写真家の撮影現場をめちゃくちゃ間近で見ることができたので、フォトグラファー目線でも何となく気になった、レスリー本人や撮影の印象をまとめてみました。
- 大物オーラはあるけどめちゃくちゃ気さく(音楽にノリながら撮影していた)
- 落ち着き払っているというか何かを悟っているというか、肩の力が抜けすぎている印象(モデルの分まで、肩の力を抜いているのか?笑)
- 穏やかな人柄で、適当に見えるときもあるけど真剣に撮っている
- モデルが引いてる暇がないくらいデリケートな話を突っ込んで心に入っていった
- それも、レスリーの純粋さからかモデルはイラっともしていない
- モデルへの指示は、本人だけが聞こえるくらいに小さい声だった(自分とモデルだけの空間を意図的に作り出しているのか、たまたまなのか)
- とりあえずモデルが周りを気にする暇もなく、速い
写真っていうのはモデルの雰囲気もそりゃ関係あるけど、写真家の人柄や雰囲気と、言葉だけに限らないコミュニケーション、その場の空気がすごく表れるもんなんだと、改めて思ったのでした。
香川レインボー映画祭
そして、こちらは毎年やっている「レインボー映画祭」。となりの会場で上映されていました。
”レインボー”という言葉が付いているのは、いろんな色、つまり多様性を認め合って調和していこうという意味。1978年の「サンフランシスコ・ゲイ・フリーダムデイ・パレード」で同性愛者のシンボルとして初めて使われて以来、セクシュアル・マイノリティーに関する運動の中で取り入れられることが多くなった言葉なんだそうです。
今年は・・・「ブエノスアイレス」、「私はワタシ over the rainbow」、「カランコエの花」、「11歳の君へ〜いろんなカタチの好き〜」
という4本が上映されていました。どれも、セクシュアル・マイノリティーをテーマにした作品。こちらもきっと、自分の”当たり前”だと思っていた世界を変える刺激的な内容ばかりなはずです。
毎年この時期にやっているので、興味があればぜひ。
LGBTなどセクシュアル・マイノリティーの人たち、自分がそうであることをカミングアウトせずに一生を過ごすという人もたくさんいるようです。
それにはきっと、家族や親しい人からの理解が得られないんじゃないかという不安や恐怖、自分でも認められない、認めたくないという気持ちがあったり・・・何か今までにトラウマになるような経験があったり・・・いろいろな理由があるんだろうと思います。
そんな中でのこのイベント、自分をさらけ出した彼らの人生を間違いなく変えたんじゃないかと。そんな瞬間に立ち会えた今回の経験は感慨深くも、自分の知らない世界を見れた気がする面白いもんでした。